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特別休暇にまつわる実務上の課題と取扱いのポイント

2019.06.13

特別休暇にまつわる実務上の課題と取扱いのポイント

坂本工業では特別休暇を設けているが、その運用において判断に迷うことがあった。そこで、規定の見直しも含めて、社労士に相談することとした。

木戸部長:

こんにちは。さっそくですが、今日は特別休暇について相談したいことがあります。当社の特別休暇制度の中に結婚休暇(5日間)がありますが、昨秋に結婚した従業員から、昨年は忙しくて結婚休暇が取得できなかったので、今年の秋に取得してよいかという質問がありました。

社労士:

なるほど。同様の質問は他社でも受けることがありますね。

木戸部長:

そうなのですか!?私が持っている印象は、結婚式または入籍日の後、まもなく新婚旅行をするために設けられた休暇と思っていました。

社労士:

確かに以前はそのような使い方が多かったかとは思いますが、今は結婚式を行わない人も多く、また生活が落ち着いてから新婚旅行をするという考え方もあるようですね。ちなみに就業規則は確認されましたか?

木戸部長:

はい。就業規則には、いつからいつまでに取得しなければならないという定めはありませんでした。

社労士:

定めがない場合、どのように運用してきたか、実態を含めて検討する必要がありますね。

木戸部長:

おそらく入籍日から1年くらいは認めていたように思います。今後、このように運用に困ることがないように、就業規則に規定しておきたいと考えています。

社労士:

そうですね。併せて、今後、同一労働同一賃金への対応を検討する際、正社員のみに特別休暇の制度を設けている場合には、パートタイマー等についても設けるのか、そのときの日数や給与の取扱いはどうするのかといった点を考えていくことになるでしょう。特にパートタイマーの場合、週3日勤務など、正社員よりも週の勤務日数が少ないケースもあるでしょうから、同じ5日間でよいのかといった取扱いを定めておくことが重要になります。

坂本社長:

確かにそうですね。それに加えて、月・水・金曜日の週3日勤務のパートタイマーが例えば特別休暇を3日間取得した場合、所定労働日である月・水・金曜日が休みとなるのか、休日も含めた月・火・水曜日の休みとなるのかといった話もありますね。

社労士:

はい。そのため、特に以下の3点については取扱いを定めておくとよいですね。

  • 取得期間
    いつからいつまで取得することができるのか
  • 連続/通算
    特別休暇の日数が2日以上の場合、連続の取得のみとするのか、1日ずつなど分割して取得することも認めるのか
  • 所定休日との関係
    所定休日を含めた日数(暦日数)になるのか、休日は含めない日数(労働日数)なのか

木戸部長:

取得期間については、今回まさに相談した内容ですね。いつからいつまで取得することができるとは、どのように考えるとよいのでしょうか?

社労士:

特別休暇については、法令で定められているものではなく、会社の恩恵的な制度となります。そのため、会社の考えに基づいて決めることになります。検討にあたっては、なぜその休暇を設けるのか、その休暇の趣旨・目的を整理し、その考えに基づいて取り扱いルールを決めることになります。

木戸部長:

先ほどの件では、なぜ結婚休暇を設けているかということですね。例えば、私が想定していた新婚旅行をするための休暇なのか、結婚式の準備のために使うことを想定しているのか、その両方なのかといったことですね。

社労士:

そのとおりです。結婚休暇の場合、取得期間のスタートを結婚式とするのか、入籍日とするのか、あるいはそのいずれでもよいとするのかといった選択肢が考えられます。

木戸部長:

当社で最近結婚した従業員は、入籍日と結婚式がかなり離れていました。入籍だけして、新婚旅行を兼ねて海外挙式をするというケースもありますね。

坂本社長:

さまざまなケースがあることから、実務を行う中で判断に迷わないように取扱いを定めておくことが必要ですね。

社労士:

そして、2.連続/通算、3.休日との関係についても、会社の考えに基づいて取扱いを決めることになります。

木戸部長:

なるほど。会社の考えを改めて整理することが重要ですね。

社労士:

このタイミングで、日数の見直しや忌引の休暇であれば亡くなった親族の対象範囲をどこまでにするのかなどの検討も必要でしょう。会社の恩恵的な制度であることから、会社の思いが伝わるものにしたいですね。

木戸部長:

ありがとうございます。規定を見直していく中で、分からないことが出てきたら相談します。

ワンポイントアドバイス

 特別休暇には、慶弔休暇のほか配偶者出産休暇、アニバーサリー休暇などを設けている会社もあり、国としても特別休暇の普及を図っています。具体的な休暇としては、「労働時間等見直しガイドライン」における「特に配慮を必要とする労働者について事業主が講ずべき措置」の中で、病気休暇、ボランティア休暇、リフレッシュ休暇、裁判員休暇、犯罪被害者の被害回復のための休暇などが挙げられています。

 以下の参考リンク「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、他社の特別な休暇制度の導入事例が検索できる仕組みが提供されています。業種、従業員規模、導入している休暇制度の3つの条件で絞込検索ができるので、自社でルール化する際の参考にすることができます。また、この導入事例には導入の経緯などの情報も掲載されていますので、併せて確認してはいかがでしょうか

参考リンク

厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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