10月よりスタートした従業員が自己啓発を行う際に活用できる教育訓練給付金制度
2019.11.19
従業員が自己啓発を行う際、その負担を軽減するために活用できる制度として、雇用保険制度に教育訓練給付金制度が設けられていますが、10月よりこの制度の中に、特定一般教育訓練給付金制度(以下、「給付金」という)が設けられました。今回は、従来よりも給付内容が充実したこの給付金の内容についてとり上げます。
[1]特定一般訓練給付金とは
この給付金は、すみやかな再就職、早期のキャリア形成に資する教育訓練を受けた場合、その受講のために支払った費用の一部に相当する額を支給するものになります。職業に関して必要とされる知識や技能が変化し、多様な職業能力開発が求められる中で、従業員等の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度になります。
[2]対象となる講座
企業では自己啓発を促すために資格の取得を促すことがありますが、この給付金では、例えば以下のような講座が対象となります。
大型自動車第一種・第二種免許、中型自動車第一種・第二種免許、普通自動車、第二種免許、玉掛け・フォークリフト運転、けん引免許、介護職員初任者研修、介護支援専門員実務研修、登録販売者、宅地建物取引士、社会保険労務士、税理士、行政書士、司法書士、弁理士、通関士、ファイナンシャルプランニング技能士、自動車整備士、電気主任技術者等
なお、具体的に対象となる講座については、以下の厚生労働大臣教育訓練講座検索システムで確認することができます。
https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/T_K_kouza[3]支給対象者
支給対象となるのは、以下の要件をすべて満たした人です。
- 雇用保険の被保険者である人または被保険者であった人のうち、被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内(※)の人
※妊娠、出産、育児、疾病等の理由により教育訓練給付の適用対象期間が延長された場合は最大20年以内 - 受講開始日までの雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回の場合は1年以上)ある人
- 2014年10月1日以降、教育訓練給付金を受給した場合は、前回の教育訓練給付金受給日から受講開始日前までに3年以上経過している人
[4]給付金額
従来からある一般教育訓練給付金は受講費用の20%(上限年間10万円)となっていますが、今回の給付金は受講費用の40%(上限20万円)の給付金が支給されます。今回の給付金では、訓練前キャリアコンサルティングと受給資格確認が必要であり、講座の受講開始1ヶ月前までに、訓練前キャリアコンサルティングでジョブ・カードの交付を受けた後、ハローワークで受給資格確認を行います。
従業員が教育訓練給付金制度の存在を知らず、機会損失になっていることもあるため、社内報などに掲載するなどして情報提供していくとよいでしょう。
参考リンク
厚生労働省「令和元年10月1日から特定一般教育訓練給付金制度が開始されます」※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。