就業規則の作成・届出や衛生管理者の選任時における労働者数の考え方
2019.12.10
労働基準法をはじめとした法令では、事業場を単位とした労働者数によって、就業規則の作成・届出が求められたり、衛生管理者の選任が必要になることがあります。その際、パートタイマーやアルバイトなど(以下、「パート」という)をこの労働者数に含めるのか、時季により人数が変動するような場合、どのように考えるのかなど、判断に迷うことがあります。そこで今回は、代表的な労働者数の考え方についてまとめます。
1.就業規則
労働基準法において常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届出をしなければならないとされています。この労働者には、パートなどすべての労働者が含まれます。また、派遣労働者を受け入れている場合、派遣労働者の労働契約は派遣元の会社との間にのみあるため、派遣元の会社で労働者数に含めます。
常時10人以上とは、一時的に10人未満になることがあったとしても、常態として10人以上の労働者を使用していることを意味しています。したがって、通常時は8人の労働者を雇用しているものの、繁忙期に2、3人を臨時的に雇用する場合は、常時10人以上には該当しません。
2.衛生管理者
労働安全衛生法において常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者や産業医の選任、衛生委員会の開催が義務づけられています(※)。この労働者は、1.と同様にパートなどすべての労働者が含まれます。
一方、派遣労働者については1.と取扱いが異なり、就業は派遣先の会社となることから、派遣先の会社(事業場)の労働者数に含める必要があります。
※業種によっては安全管理者の選任、安全委員会の開催を行う必要があります。
3.企業単位の労働者数
36協定の届出など多くのものは事業場を単位としていますが、企業を単位としたものもあります。例えば、労働基準法の時間外労働の上限規制については、資本金の金額や常時使用する労働者の数により、大企業と中小企業が区分され、その施行時期が異なっています。
また、障害者雇用についても、事業場ではなく企業を単位としており、常用労働者が45.5人以上の場合、障害者の雇用義務の対象となります。この常用労働者とは、週の所定労働時間が20時間以上で、1年を超えて雇用する見込みがある、または1年を超えて雇用されている労働者をいいます。この際、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者は、短時間労働者となり、0.5人の労働者とみなします。
パートについては、各人によって週の所定労働時間、雇用期間、雇用見込みが異なるため、労働者数に含む・含まない、または0.5人としてカウントするというように、ケースごとに分けて考える必要が出てきます。労働者数のカウントは適切に行い、法令の定めに対応していきましょう。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。