厚労省が実施した「過重労働解消相談ダイヤル」の相談内容は「長時間・過重労働」が4割
2019.01.15
過重労働対策として、国は様々な対策を行っていますが、その一つに、毎年11月に行われる過重労働解消キャンペーンがあります。先日、この過重労働解消キャンペーンの一環として行われた「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果が公表されました。今回はこの相談結果の概要と具体的な相談事例をとり上げましょう。
1.相談結果の概要
相談件数は合計501件で、主な相談内容としては、長時間労働・過重労働が204件(40.7%)、賃金不払残業が174件(34.7%)、パワハラが69件(13.7%)でした。この相談内容の順位は昨年と同様であり、過重労働解消のための相談ダイヤルであるため、当然の結果とはいえるものの、引き続き企業における長時間労働・過重労働問題が大きいことを意味していると捉えることができます。
相談者の属性をみてみると、労働者が313件(62.4%)、労働者の家族が129件(25.7%)でした。昨年の相談結果でも労働者の家族からの相談が28.8%あり、長時間労働対策は従業員の家族の存在も念頭において取組むべき課題になっています。
これらの相談のうち、労働基準関係法令上、問題があると認められる事案については、相談者の希望を確認した上で労働基準監督署に情報提供を行い、監督指導を実施するなど、必要な対応が行われることになっています。
2.相談事例
この相談結果の中で、相談事例もとり上げられていることから、この中から特徴的な2つの事例を確認しておきましょう。
- 長時間労働・過重労働:飲食店の店長(接客娯楽業、30代、労働者の家族からの相談
休日がほとんどなく、朝4時頃に自宅を出て翌日の午前2時頃帰宅する生活である。月に1回から2回程度は休日であるが、自宅でずっと寝ており、疲れ切っている様子である。
- 賃金不払残業:建設業の作業員(建設業、年齢不明、労働者からの相談)
社長に対し、残業代の支払いを求めたところ「賃金に含まれている」と言われたが、賃金は基本給のみであり、これまでに固定残業手当が含まれていると聞いたことがない。固定残業手当や役職手当等は支払われていない。
長時間労働に関しては、労働安全衛生規則が改正され、2019年4月より長時間労働者への面接指導を実施するために行う労働時間の状況の把握を、タイムカードによる記録、パソコン等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法で行うことが義務化されます。企業は適正な労働時間を把握することにより、時間外手当の不払いをなくすとともに、従業員の健康管理に注力する必要があります。
参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。